「そのときは、理由が分からなかったのです。」

「理由は分からないが、1級建築士の奥さんには効かないことは分かったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。そして、僕には効かないが、息子には効くことも分かったので、試験などで記憶力が必要なときには、ホスファチジルセリンを飲むようにと話した記憶があります。」

「ホスファチジルセリンが効く人はラッキーですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。それ以来、なぜ、ホスファチジルセリンが効く人と効かない人がいるのかということが、大きな謎になりました。」

「そして、何日か前に、突然、渡辺さん自身にホスファチジルセリンが効くと直感したということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。先ほど話したように、130手前後でミスをするので、ホスファチジルセリンを飲んで、棋譜を並べてみたのです。」

「ホスファチジルセリンは効いたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。棋譜を並べているうちに頭が落ち着いてきて、210手ミスをしないで、並べることができました。」

「250手並べることはできなかったということですか」と町会長。

「その棋譜は210手で終わってしまったのですが、その後、3週間ほどで、200手を超える棋譜を1局、250手を超える棋譜を4局並べています。」

「ホスファチジルセリンは、間違いなく効いていますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。それで、息子は何局くらい並べたのか聞いてみたのです。」

「記憶力がけた違いにいい息子さんは、何局並べていたのですか」と町会長。

「驚いたことに、1局目が終わっていなかったのです。」

「息子さんの記憶力が低下してしまっていたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。息子も高齢者の僕よりも記憶力が低下していることに驚いたようです。」

「それで、ホスファチジルセリンを飲むことを勧めると、アマゾンで注文して、すぐ飲むようになりました。」

「効果はあったのですか」と町会長。

「息子は、効果があると言っていました。そして、棋譜を並べる方法も、毎日5手ずつ増やしていくという確実に覚えられる方法に変えたのです。」

2021/8/18

<それじゃあどうする27>
筆者は数年前若返ったことは書いたが、その後若返ったということは書いていない。1回目の若返りは、両親の老化に連動して老化が進み、鏡を見たら80代と思われても不思議はないような顔になっていたところからの若返りだったので、保険屋さんのように『渡辺さんは元々老けていたから』と若返りを評価しない人もいた。

しかし、その頃、外庭の小道に面する苔庭の草むしりをしていると、子犬を連れて小道を散歩している近所に住むご婦人が通りかかった。筆者が顔を上げて目が合うと、いつもなら会釈をして通り過ぎるのだが、この日はショックのため、まともに次の1歩を踏み出すことができず、カクンと一歩踏み出すと挨拶もできずに通り過ぎた。そして、あまりのショックのためか、子犬を連れて散歩するのをやめてしまったようで、その後、姿を見かけることがなくなった。

筆者の家にある鏡を見ても、鏡によっては、若く見えるものもあれば、醜怪な老人の顔が映るものもある。人も鏡と同じで、ショックを受けるほど若返ったように見える人もいれば、少しばかり若返ったが、年相応に見える人もいたようだ。

人が若く見えるか、年をとったように見えるかの客観的な基準はないようだ。それで、1回目の若返りを除いて『若返った』という表現は避けてきた。<続く>

2024/8/1